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遠山 周平

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ファッション

趣味はリフォームという洋裁男子が、流行遅れだったり、サイズが合わなくなったり、破損してしまったりなどの理由でタンスの肥やしになっていた、捨てるには惜しい服を、自己流のお直しテクニックによって蘇らせていきます。倹約も大切だけれど、手作りとシックなアイデアで生活をゆたかに楽しむ”スロースタイル&エシカルドレッシング”の提案。これをヒントに御自分で実践してもいいし、お直しのプロに頼んでも楽しめるはず!

遠山 周平
遠山 周平
管理人
プロフィール
1951年東京生まれ。
新聞記者、雑誌編集者を経て服飾評論家に。
フリージャーナリストとしての立場を堅持するため、海外でのメンズコレクション取材から欧米のビスポークテーラー体験記まで、そのほとんどの執筆活動を自費で捻出してきた。
「思索なき多見に益なし」が信条。
最近は『ファドと革新者』、『モダニズムとクラスウエア』、『テクノロジーとサスティナビリティー』といったテーマに興味を持ち評論活動を続けている。
著書に『背広のプライド』(亀鑑書房)、『洒脱自在』(中央公論新社)などがある。
天皇陛下ご用達テーラー服部晋氏が主催する『キン・テーラーリング・アカデミー』で紳士服の仕立て法を学び、現在もスーツの機能とデザインの研究をする。『洋裁男子ダイアリー』は、そんな筆者の趣味と実益を兼ねた日常生活から生まれたものといえよう。
現在ウエッブマガジBYRONで連載中の『モード逍遥』は著者初めての月刊誌連載(メンズEX 1993年から1996年)の題名のリバイバル。名付け親は当時担当編集者だった故山口淳氏であった。
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ファッション
遠山 周平
2019.07.06
洋裁男子ダイアリー#13
(スーツの袖口を詰める)
このコラムの冒頭を飾る筆者のポートレートを撮影してくれた写真家の森万恭(もりかずやす)さんは、長年『ドレステリア』というブランドのクリエーティブ・ディレクターをしていた人。
その彼が昔手掛けていた頃のスーツが出て来ました。
しかし、今着てみると袖口がほんの少し長いことに気づいたのです。スーツの袖口から見える、ドレスシャツのカフスの分量は重要で、わずかに少ないだけで、着こなし全体がもっさりした感じになります。
で、袖口を詰めることに。分量は袖ボタンの間隔のひとつ分。こうするとボタンの位置を変える必要がなく、合理的だからです。間隔を計測すると1inch(2.54cm)でした。
まずは袖裏をはずし、折り返されていた部分の布をアイロンで伸ばします。すると折り返された部分の内側に、補強用のスレキという布が挟み込まれていることが判りました。見えない部分にも手を抜かない、森さんの頑固な服作りの姿勢がこんなところにも現れていて、感心しきり。
ついでに袖先から一番近いところにあるボタンをはずし、飾りセッパもとってしまいます。
袖を1inch短くなるように折り返してから、その内側にスレキを元通りにはさみこみます。折り返した部分をまつり縫いでスレキにとめ、そのほかの部分も、縫われていたのと同じように仕上げます。
このスーツの袖口は、本セッパにも出来る本格的な仕様になっているのですが、飾りセッパのままにしておいたほうが、袖口の仕上がりがクリーン見えるのでそのままにすることにしました。
問題は、4個付いていた袖口ボタンが3個に減ってしまったこと。3個めのボタンから1inch奥にボタンを追加すれば済むのですが、その場合、飾りセッパを縫う専用ミシンがありません。手でチェーンセッパをつけることも可能ですが、明らかに縫い目がマッチしません。熟慮の末に、袖口は3個ボタンのままにしておくことに。
袖の長さは完璧に調整出来たので、これで充分満足です。
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遠山 周平
2018.02.05
洋裁男子ダイアリー#12
(レザーモノをリフォームする)
レザーウエアの直しは家庭用ミシンでは出来ません。あきらめていたところ、浅草のほうにレザーも縫える工業用ミシンを時間貸してくれるところを見つけました。
行ってみるとそこは革小物などを製造するメーカー。2階の工房に置いてあった使用していない工業用ミシンを、レザークラフト職人を志す人に貸しているのだそうです。
筆者は初心者なので、糸のセット法や縫い方などを、常駐している年配の職人さんに教えてもらいながらの挑戦。
昔ミラノで購入したルッフォ・リサーチのレザージャケットの着丈を3cm詰めることにしました。あらかじめ家で、裾と身返しをカットするなどの下ごしらえを済ませておいたので、後は縫うだけの作業です。
仕付け糸の代わりに専用の糊で縫いたい部分を仮止めしてから、一気に縫います。工業用ミシンの馬力のすごさに驚きながらも、なんとか完成。前裾がスクェアカットだったので助かりました。
これに味をしめて、お次はレザーのブリーフケースの改良に取り組みました。
フェリージといえば、軽いナイロンバッグが有名ですが、昔はクラシックなレザーバッグも手がけていました。しかしこのバッグ、格好は良いのですが、手でさげると老齢の筆者には重いのが難点。
そこでバッグに付いていた2本の革ベルトを利用して、ショルダーベルト用の金具を取り付けることを思いつきました。
真鍮製のD型リングは東急ハンズのクラフトコーナーで購入。金具が動かないように、ベルトと分厚いボディを縫合すれば完成です。
近所の商店街にあるリフォーム屋さんに聞くと「縫うだけなら1カ所500円でOK」といことなので、今回はそこの工業用ミシンにおまかせすることに。トレンドの英国調スーツに似合いそうなバッグになりました。
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遠山 周平
2018.01.10
洋裁男子ダイアリーズ#11
(ボタンダウン・ピンホールシャツを創作)
昔のエスクワィアーを読んでいたら1940年代に、ボタンダウンシャツにピンホールを開けてネクタイをするスタイルが流行した、という記事を発見。これは見たこともないものなので、さっそく手作りで襟にピンホールを開けて、試してみる価値はありそう。
ピンホールをあける場所は重要です。なぜならこの位置を間違うと、ネクタイの結び目が格好よくおさまらないからです。
そこで、シャツの襟腰から3.8cm下、衿端から1cm内側に印をつけ、目打ちと呼ばれる専門道具で小さな穴をあけます。
糸はシルクの穴糸を使います。まずはその前に、糸をロウ引きして、ティッシュペーパーでそれを挟み、上からアイロンで熱を加えながら糸を引くという下処理をします。こうすると、糸にロウが均等に付着して、スムースに縫えるようになるからです。
縫い方は、ボタンホールと同じ穴かかがりという方法を採用しました。最初に衿の裏側で糸をとめ、ピンホールに下から針をくぐらせてから、穴のできるだけ近くの表側から針をさして下へ抜き、ここで出来た糸の輪を保ったまま、もう一度下からピンホールに針を通し、輪に針をくぐらせてから糸を引くと、小さな玉ができてとまります。これを穴の周囲に添って、細かくつなげていけば、ピンホールシャツは完成です。
失敗すると怖いので、最初は着古したシャツで練習。慣れてきたので、トゥモローランドでオーダーメイドした上等なボタンダウンシャツで本番。見事に成功しました。
ピンホールに差し込んで、衿を格好よく見せる金具は、アザブ・テーラーなどのアクセサリー売り場で見つかるはず。
最近は、英国クラシック・ルックのリバイバルで、タブカラーシャツが注目されています。ボタンダウン・ピンホールシャツも、ぜひお試しを。
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遠山 周平
2017.12.23
洋裁男子ダイアリー#10
《今どきのカスタムジーンズに挑戦》
今話題のLA発『アトリエ&リペアーズ』の格好いい改造法に刺激されて、カスタムジーンズにチャレンジすることにしました。
昔流行したデストロイジーンズとアトリエ&リペアーズのカスタム法はかなり異なります。前者はデニムの横糸だけを残して生地に穴をあけたり、表面にやすりをかけて古びた味を出すなどの人工的な手法を得意にしています。いわばイケイケ系ジーンズ。
いっぽう後者は、生地が擦れたり穴があいた部分に布をかぶせ、さらにその上に補強のためのステッチワークを施したりしています。生活のなかで自然に傷んでしまった作業着を補修するといった感じの、いわば手作りのヴィンテージ感を再現しようとしているのがアトリエ&リペアーズの新しさといえるでしょう。
で、筆者は以前購入して、まったく着用しなくなってしまったデストロイジーンズをアトリエ&リペアー風にカスタムすることにしました。
まずはおなじみのジーンズ改良法(洋裁男子#6)で、裾にセルビッチを加えます。ついでにヒップポケットをはずして、好みのブランドのステッチを入れてから、もと通りに貼り付けます。
穴のあいた部分は、表側からデニムの当て布をかぶせて縫いつけたり、裏側にデニムを当て、穴部分に細かいステッチをかけて補強したりします。
ステッチはミシンの前進・後進機能を使って、細かく、いい加減に縫うのがコツ。またフェードアウトしたブルーのデニムには、生成りやネイビーのステッチが合うようです。
アトリエ&リペアーのカスタムジーンズには、内股の部分に別布を加えて、サルエルパンツ風にしたものもありますが、筆者は不採用。なぜって、この年齢でサルエルパンツなどをはいたら、オシメをした徘徊ジイさんに間違えられるのがオチだから。
最後は遠山調のオリジナル感を出すために、刺し子の糸で野良着風に仕上げて完成です。

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遠山 周平
2017.12.13
洋裁男子ダイアリー#9
《トーサン・ズボンをお洒落に変身》
股上が深く、渡り幅(股の付け根あたりの幅)が35cmもある、トーサン・ズボンをお洒落なシルエットに変身させるのが今回のテーマ。
そこで太い渡り幅を生かして、セミ・ジョッパータイプ(乗馬パンツ風)のシルエットが最適と考えました。そのためには、26cmあるひざ幅(股の付け根から約30cm下方あたり)を22cm幅へ急激に詰めなくてはなりません。そこから裾にかけては、ゆるやかなテーパードラインにして、裾口の仕上がり寸法は19.5cmに設定。
パンツを裏返しにして、縫い代をアイロンで伸ばし、内側と外側を同じ分量だけ詰めることが大切。片側詰めだとクリースラインが中央からずれてしまうからです。面倒でも仕付け糸で仮どめしてから、ミシンで一気に縫い合わせ、縫い代をアイロンで割ってから、クリースラインを整えます。
縫い代の幅が大きくなってしまった箇所は2cm幅に切り揃え、端を手で粗くかがり縫いしておけば、ほつれる心配はありません。
ダブルで裾上げする場合は、ダブルの幅×2+(ダブル幅ー1cm)の布の長さが必要になります(ダブル幅4cmなら裾の仕上がり線から11cmの長さが必要です)。
このパンツ、じつは高密度なバーバリークロスで作られたスリーピースのピュア・アイビースーツの組下でした。雨を弾く上に、ヒップ上方に付けられたアイビーストラップが気に入っていたもの。
パンツがリフレッシュされたので、タンスの奥のスーツも格好よく蘇り、なんかイキイキして見えます。


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遠山 周平
2017.11.25
洋裁男子ダイアリー#8
<上着の肩パッドを取る>
オードリー・ヘップバーンがファッションモデルの役で主演した『パリの恋人』というお洒落な映画がありました。相手役はウエルドレッサーとして有名なフレッド・アステア。彼はローライ・フレックスを首から下げたカメラマン役です。当時ヴォーグ誌などで活躍していたリチャード・アベドンが、この役のモチーフになっていたと思います。
さてそんなアステアが映画の中で着ていた、柔らかなベージュ系のヘリンボーン・ツイードジャケットに憧れてオーダーした服が、タンスの奥で眠っていました。理由は、肩まわりが重厚すぎてパリっぽい洒脱な雰囲気に欠けていたからです。ホーランドシェリーという英国製の味わいのある生地で仕立てたのにあまり着用しませんでした。もったいない。
そこで分厚い肩パッドを取り去ることに挑戦。まず肩の裏地をほどき、芯地とアームホールにとめられた肩パッドを注意深くはずします。このとき袖山についたタレ綿が取れてしまうこともあるので、そうなった場合は元通りに縫い直します。写真をご参考に。
最初は薄手の肩パッドと交換するつもりでしたが、思い切ってパッドなしのナチュラルショルダーしたほうがすっきり見えることに気がつき、作業途中で方針転換。芯地の上部を、前身と後ろ身が合わさった肩の縫製線を利用して、表側から丁寧にすくい縫いして固定すれば、芯がずれることが防げます。
肩パッドを取ったために、胸まわりが貧相になりました。そこで胸ダーツを入れて、胸のドレープを強調。胸ダーツは衿で隠れる位置に入れるのがコツです。



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遠山 周平
2017.11.18
今週は多忙のため洋裁男子ダイアリーは、おさぼりします。代わりにといってはなんですが、前々回紹介したジーンズの写真がブルータスの12月1日号(11月15日発売)に掲載されたのでご紹介。
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遠山 周平
2017.11.11
洋裁男子ダイアリー#7
《ダブルブレスト・ブレザーの着丈を詰める》
英国海軍の制服に感化されてオーダーメイドした、ダブルブレスト8個ボタン! のネイビーブレザー。頑強な制服用のボタニーサージ(日本では鬼サージと呼ばれている)で仕立てたため30年前の服なのに現役バリバリです。
ただし当時の流行に影響されて、着丈が少し長いのが、残念。そこで3cmほど詰めることにしました。ダブルの場合は裾が直線になっているので難しい作業ではありません。
裏地を解き、折り返された裾を3cm幅にカットし、元通りの幅に折り返して端をまつり縫いでとめてから、裏地を奥まつり縫いすれば完成。
でも裾からポケットの位置までの長さが短くなったのが気になります。そのためフラップをポケットの中にしまいこみ、ポケットの高さを不明確にしておくのが着こなしのコツ。
補修用に残しておいた余りの生地で、いつかパッチポケットを作り、ポケットの口を隠すことも考えています。
このブレザー、じつはもうひとつ気になる点がありました。それはアームホールが昔風に大きくて、袖も煙突のように太いところ。
そこで脇を1cmほど詰めることにしました。こうすればアームホールが小さくなります。
小さくなったアームホールに合わせて、袖も細く詰めれば写真のようにスマートになります。
脇詰め、袖詰めとも裏地をはずしたり、アームホールに袖を付けたりと、かなり手間のかかる作業になります。
御自分でリフォームするには難しすぎると思ったときは、プロにおまかせするほうが無難かも。

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遠山 周平
2017.11.04
洋裁男子ダイアリー#6
《ジーンズにセルビッチを移植する》
ジーンズといえばリーバイス501。なかでもセルビッチ付きが人気です。セルビッチとは生地の端がほころびないように処理した部分。通称耳とも呼ばれます。昔のシャトル織機は90cmの細幅だったので、セルビッチをジーンズの外側サイドの縫い目に添って使えば、縫製の手間がひとつ省けたのです。希少価値の高い昔のジーンズにはセルビッチが必ず付いているため、これがステータスシンボルになったわけです。
で、普通のジーンズにセルビッチを移植することを考えました。ウエストが窮屈になってはけなくなってしまった昔のリーバイス501から、セルビッチ付きの裾を約7センチ幅で切り落とします。
いっぽう古着屋で安く売っているセルビッチなしの501を購入。それを御自分のお好みの股下の長さにカットして、セルビッチを写真のように移植。あとは、縫いしろ約0.7cmでミシンをかけ、縫い目をアイロンで割ってから5cm幅にロールアップすれば完成です。
セルビッチ付きのジーンズは、生地の経ての目がパンツのセンターラインに通っていません(写真の白糸の上側で示す)。ほんらいならば、生地の目が中心に通っている(写真の白糸の下側)ように裁断しなければならないのに、セルビッチを外側サイドに持ってきてしまったために、ねじれが生じてしまうわけです。
しかしながら、セルビッチなしのジーンズの多くは、生地の経ての目を正しくセンターラインにもってきて設計されているので、これにセルビッチだけを移植すれば、ジーンズのねじれが解消されて美しくはきこなせるというわけ。一石二鳥の効果ありです。
ちなみに筆者の特製ジーンズは、ブルータスで紹介される予定。パリのJMウエストンを愛用する人々を紹介するページで、シグネチャーローファーに合わせています。
そのときは写真をアップします。ちょっと自慢させてね!

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遠山 周平
2017.11.02
洋裁男子ダイアリー#5
『フランスの手作り雑誌はシックだ』
1980年代の頃、フランスの『100 IDEES(サンイデー)』という洋雑誌を定期購読していました。この雑誌は、手作りの服、パッチワークや手編みのニットなどの洋裁から、自作できるインテリア、子供と一緒に遊べるホビーなど、日々の暮らしをより楽しくするためのアイデアを毎号たくさん紹介していたのです。
誌面で紹介されたモノを実際に読者が自分で作れるようにと、編集者が試作したり、丁寧な設計図などまでつけた親切な編集。同じようなことを日本の雑誌『暮らしの手帖』もやっていましたが、素敵な色や素材使はさすがフランスだ!、と思っていました。
フランス語で『CHIC(シック)』と呼ばれることの本当の意味は、意外なモノを使って、周囲を「あっ」と驚かせるようなお洒落のこと。筆者は今もバックナンバーをペラペラめくりながら、サンイデーから本物のシックをたくさん教えてもらっています。
『年収6割でも週休4日という生き方』(小学館)は、8年前の本ですが『小欲知足』という生き方を教えられました。その意味は、欲を少なくしてこそ真の幸福が得られる、というもの。
著者は、米国生まれで日本国籍を取得し、会社の会長でもあるビル・トッテンさん。彼はリーマンショックの直後に、この本を書いたといいます。
ギャンブル的な金融至上主義や市場原理主義に反旗をひるがえし、スローライフを主張する人は多いのですが、机上の空論ばかりで、具体案を示し、それを実行する人は少ないもの。
トッテン会長は、会社の収益が6割減ったとしたら週休4日にして、家庭菜園、洋裁、日曜大工などの自給自足プロジェクトを社員に指導し家計の足しにする、というユニークな発想をこの本で提案しています。
『洋裁文化と日本のファッション』(青弓社)は、筆者が推す本年度ベストワンのファッション本。洋裁マニアは必読。自分の趣味に誇りが持てました。

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遠山 周平
2017.10.21
洋裁男子ダイアリー#4
《ジーンズのウエスト詰めに挑戦》
アメカジ専門の古着屋さんが「店のポリシーに合わないから」と、高価なイタリア製のジーンズを格安でワゴンセールしていました。すかさずゲットしたけれど、ウエストが少し大きかった。
通常、ウエストの詰め直しはヒップ側の中央でしますが、ジーンズは腰帯にハギ目がないうえに、ヒップ側の中央はダブルステッチという直しにくい作り。で、フロント側から攻めることに。
まずは前ボタンを詰めたい分(2cmが限度でした)だけずらして取り付けます。次にフロント下前側のジッパーと腰帯をほどきます。このときは、すべてほどかずに下部は残しておくのがポイントです。後は、腰帯を2cm内側に折り曲げ、そこに合わせて前身も斜めに、つまり上は2cm,下はゼロになるように折り曲げて、アイロンで整えます。そこに、ジッパーと通称テングと呼ばれる布を元通りに挟み込み、縫い付ければ完成。
フーッ、面倒!
布が厚くなって、ミシンの押さえ金具が入らないときは、乱暴ですが厚くなっている部分を木づちで叩いて平たくして縫います。
分解すると、白い生地を後で製品染めしてオフ白していることが判りました。さすが高級品、生地の風合いを出すための心遣いが細やかでした!
ついでに、アーミー調のブカブカ・ショーツがあったので、ヒップの中央がダブルステッチになった場合のウエスト詰めに挑戦してみました。
まずは、背部中央のダブルステッチを約25cmほどきます。後ろ身の左右の布の上端に、詰めたい分のしるしをつけ、7mmの縫いしろを残して余分な布は切り落とします。左右の布の縫いしろを折り曲げてアイロンで整えます。さらに折り曲げた縫い代を、左右互いにかみ合うように合わせ、仕付け糸で止め、端ミシンを表側から1回、裏側から1回かければ、完成のはずが、ご覧のように縫い目が少し曲がりました。
下手な縫製も、手作りであれば、むしろ愛嬌なので、このまま愛用中。

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2017.10.16
洋裁男子ダイアリー#3
《ボタン交換はプロ仕様の頑強糸で》
本年度、最も売れなかった演歌歌手のマネージャーが愛用するような派手なダブル胸ジャケットをタンスの奥から発掘。生地はカルロ・バルベラの品の良いベージュなので、イケテない要因は金ボタンにあるに違いないと考え、それをナットボタンに交換することにします。
家庭でボタン交換をする場合は、穴糸と呼ばれる太めの絹糸を使うことが多いはず。でもこれでは糸がすぐに切れる。で、プロの仕立て屋さんが使う通称『ツレデ』と呼ばれる麻製の丈夫で太い糸を使うことにします。
一般の手芸店にはないので、神田・岩本町にあるテーラー専門店へ。筆者のご贔屓は、外装が懐かしい銅板葺きの『岡昌裏地ボタン店』。江戸の下町情緒が残っていた当時、この界隈は和装の古着屋、洋装の羅紗屋、付属屋が軒を連ねていたといいます。しかし今ではすっかり寂れてしまい「残った付属屋はたった3軒だけです」と、店主も寂しそう。
さて、ボタン付けは単純ですが、力のいる辛い作業。生地とボタンの間を少し浮かせて数本の糸で根を作り、そこに糸を堅く巻きつけ、太くなった根に3度ほど針を入れて糸をとめれば完成です。しかし、この針を出し入れするのが大変。裏ワザとして筆者は、針を小型のラジオペンチで引き抜いてます。
ついでに、ダブル胸のネイビーブレザーの金ボタンを交換した例もご紹介。オーダーした当初に付いていたメタルボタンは、どこにでもある普通の製品でした。そこでロンドン取材のついでにポートベローの古着マーケットで見つけた、本物のロイヤル・エアホースのメタルボタンに付け替え。ボタンの径がひとまわり大きく、軍モノなので真鍮も厚手で頑強。通称『鬼サージ』と呼ばれる、英国製のボタニーサージの重厚な雰囲気にうまくマッチして、大満足の仕上がりです。
さわやかな秋の日差しのなか、テラスで珈琲休憩をとりながら、初冬に着る服を直しています。
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遠山 周平
2017.10.08
洋裁男子#2
《自作のデニムバッグを贈り物に》
『サンカッケー』という大好きな服の展示会へ行ったら、ヴィンテージ古着好きのデザイナー尾崎雄飛さんが、古いリーバイスの素敵なデニム・トートを飾っていました。今買えば相当なプレミア価格がつくはず。
そういえば『クラス』という素敵なブランドのデザイナー堀切道之さんも、同年代に作られたラングラーのデニムトートを大切そうに使っています。リーバイスのハンドル部分は赤の丈夫なキャンバス製テープで、ラングラーのはオレンジ色。袋に付けられたパッチポケットも、ラングラーのほうが少し大きめなのが特徴です。
「偉大な創造はパクリから始まる」という名言をはいたデザイナーの山本寛斎さんに従って、リーバイスのほうをコピーすることにしました。
製作の目的はウチの嫁へのバースデイ・プレゼント。我が家には、誕生日プレゼントは3000円以下という縛りがあるため、いつも悩むのです。
日暮里・繊維街の入口にあるジーンズショップでデニム生地を購入。縦43.5cm×横38cmの袋を縫います(縫い代は7mm)。底部から6cm上に幅11cmの三角形のマチを付け、袋の口は2.5cm折り返してミシンで叩くだけ。生地のほつれは味出しと考えます。糸はデニム用の太い糸(30番手)を使用。そこにユザワヤ(手芸品屋)で購入した赤い丈夫な綿テープのハンドル(全長45cm)と、ウエストサイズが合わなくなったリーバイス501からヒップポケットとブランドロゴが刻印された紙パッチを取り外して、付ければ完成です。
デニム生地が余ったので、ついでに筆者の仕事用バッグも作ってみました。まず縦30.5cm×横37cmの袋を縫い、底部から6cm上に幅12cmの三角形のマチを入れます。袋の口は2.5cmの折り返しをしてとめ、ハンドルの全長は38cm。一見小型に思えるけれどA4サイズの資料が横向きに入り、充分機能的です。
仕上げに、このアイデアの種をくれた尾崎さんに感謝をこめて、彼のデザインしているブランド(ヤング&オルセン)のワッペンをつけてみました。少しは宣伝になるのかな。


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遠山 周平
2017.09.28
洋裁男子ダイアリー#1
《一粒で2度おいしいショーツはいかが》
短パンが心地良い季節は過ぎ去りましたが、夏モノの最終処分セールなどを活用して、自分だけの短パンをカスタムメイドしてみるのはいかがでしょうか。
「この柄もいいけど、あっちの柄も欲しい」と、迷うことってあるじゃないですか。そんなとき思いついたのがこのアイデア。
同じブランドの同型・同サイズで、どちらも諦めきれなかった2種類の柄違いの短パンを購入。それを思い切って真っ二つにほどいてしまいます。A柄ショーツの右半分にB柄ショーツの左半分を取り付け、それを家庭用ミシンで元通りに縫い直せば完成です。
ファスナーの部分が複雑でしたが、下前側をはずして、原型と同じように布にはさみこみ、必ずしつけ糸でとめてから縫えば、小学校の家庭科成績3の筆者でもなんとか出来ました。
左右の側面から見るとそれぞれ違う柄になる、ひと粒で2度おいしい短パン。で、『グリコ・ショーツ』と命名しました。
綿麻製のトロピカルな柄で作った筆者のグリコ・ショーツは、じつをいうと数年前のユニクロ。大胆なカスタムは失敗しても惜しくない値段のモノで練習するのが鉄則です。
同じ発想のアレンジとして、ユニクロの名品、オックスフォードBDシャツで、白とピンクのクレイジー・パネルカラーのシャツも作ってみました。
袖と前身をバラバラに分解。片側の袖が白なら、もう片方の袖はピンクに。前身も同様にして元通りにミシン縫いします。
ミシン目の端の一カ所をほどいて引っ張ると、簡単に糸が抜ける特殊なミシンが使用されていたので、苦もなく分解可能でした。
筆者の家庭用古ミシンは特殊機能がないので、ボディ脇のダブルステッチは、アイロンで整え、布をはさみ込み、しつけ糸でとめてから縫い直しています。面倒な作業ほど、鼻歌まじりでゆっくりやるのがコツ。
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