無重力バランス洗浄機械装置の原理と方法は、「京の着だおれ(Happyケアメンテ通信3月10日号参照)」の衣文化を支えると言い換えられるくらいの「友禅流し」をヒントにしています。
東京オリンピックの翌年1965年、60年も昔のことで、私(代表:橋本英夫)が、15歳の頃です。私は、神社仏閣の美に憧れて、京都へ旅をした時に「友禅流し」を見て「何をしているのだろう?」という疑問で、頭の中は???で一杯になって、「何をしているのですか」と、川の中で作業している方に大声で聞きました。その方は、わざわざ土手まで上って来て、友禅流しの「なぜ、どうして?」を親切に教えてくれたのです。あの感激は忘れられない思い出です。
着物の反物の長さは約12メートルもあるそうで、この長い反物を川の流れの中に広げて生地を傷めず、余分な糊や染料を洗い流して、鮮やかな色を浮かび上がらせる方法だと教わりました。私の目には、反物を川に流しているのに、反物が川の底にゴロゴロしている石コロに触れず、川面に浮き上がりもせず、「鯉のぼり」が水中を気持ち良く泳いでいるように見えたのです。それが、実に不思議な光景として脳の片隅にインプットされていました。
そして私が、1979年クリーニング業界に身を置くようになって(Happyケアメンテ通信3月31日号参照)、最初に行き当たった難関が、「水で洗浄」すると繊維の膨潤、収縮によって、衣服の形状・形態が損壊し、色彩・色調が変化して、着用できなくなるので水洗浄ができなかったことです(よって、クリーニング業界は、動物繊維、繊維素繊維の水洗いが出来ない)。
ところが、この一方ではドライクリーニングと比べて、水洗浄は、シミや汚れが驚くほどキレイになるのです。このことは、クリーニング業界の誰もが承知している事実であることから、私は、水洗浄しても、形状・形態・色彩・色調が損壊、変化しない方法を研究テーマにして、この難題を解決することに決意したのです。
そうこうして、水を研究していく過程で、なんとも不思議な水の特異なクセの理解が深まったので、それを工学的、科学的にアプローチしました。そこで、ヒントになったのが「友禅流し」です。「友禅流し」の水が流れる水平運動を、円運動に換えることで位相圧力差が物理的に発生するという仮説を立てて実験機を試作し、試行錯誤の中から実機を完成させたのです。
さて、水平運動を円運動に換える何故を解き明かしますと、「鯉のぼり」が、川の中を空中遊泳するような不思議な「友禅流し」に、30年ほど昔に出会っているからです。子供のころに脳の襞に刷り込まれた残滓のようなものが、閃き・インスピレーションになって発明ランプに灯が点り「無重力バランス洗浄」理論が生れたのです。
「無重力バランス洗浄」は、水で洗浄するという最難関をクリアして、衣服の美しいディテールを壊さず、鮮やかな色彩を演出できるようにしたことで、クリーニングの「出来ない」を「出来る」にChangeさせたのです(国内外特許取得)。
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