縁の下の力もち「裏地」
洋服選びのポイント「裏地」
洋服を買うときの選定のポイントは、パッと見たときの「デザイン」「色」「素材」「風合い」などが中心になることが多いのではないでしょうか。
衣服は、「表地」「裏地」「芯地」などで構成されているのが一般的ですが、着用したときに肌に最も近い位置にあるのが「裏地」です。実は、この「裏地」が、着心地の良し悪しだけではなく、衣服全体の外観にも大きく影響しています。
たとえ表地に高級な素材が使われていたとしても、「裏地」のつくりが悪いと着心地は台無しです。
つまり、より良い衣服“選び”のポイントに『裏地』は欠かせないものといえます。
裏地の役割
裏地の役割や機能をまとめると次のようになります。
①着用性
・滑りやすくして「着たり脱いだり」など着用時の動きをスムーズにする。
・吸湿性のある裏地により変色・汚れ・着心地など、汗の表地への影響を防ぐ。
・吸湿性と放湿性。
・静電気を防ぐ。
②保型性
・表地の形態安定性を補い、型崩れを防ぐ。
・表時との滑りを良くしてシルエットを整えて保つ。
・表地を内側から保護する。
③外観性
・表地の透けを防ぐ。
・商品の裏側の外観を整える。
裏地の素材
裏地に使われる主な繊維素材とその特性です。
繊維素材 | 特性 | 滑り良さ | 耐摩擦性 | 吸放湿性 | 静電気防止性 |
キュプラ | 吸湿性と静電気防止性に優れ、裏地として広範囲に使用されている。 | ◎ | △ | ◎ | ◎ |
---|---|---|---|---|---|
レーヨン | キュプラとほぼ同様の性質だが繊維一本がキュプラより太い点で感触が異なる。 | ○ | × | ◎ | ◎ |
ポリエステル | 安価で生産量が多く、広範囲に使用されている。強度はあるが吸湿性に劣る。 | × | ◎ | ×~△ | △ |
アセテート | 比較的吸湿性や滑り良さはあるが静電気が起こりやすい。 | ○ | × | ○ | × |
絹 | ほとんどが和装用。一部の高級婦人服にわずかに使用されている。 | × | × | ◎ | × |
裏地“タップリ”が、
表地“スッキリ”見える良い衣服!
着用したときに体が動きやすく機能するように、基本的に裏地は表地よりもたくさんの「ゆとり」を必要とします。
一見、裏地にシワやたるみが出て不良品に思われがちですが、洋服先進国の縫製職人は、手作りの時代から、如何にして裏地に「ゆとり」を多く入れるかが技の見せドコロだったといいます。
たとえば、“背中”“脇”“裾”に、「キセ」と呼ばれる、たたみダーツを施したり、最も動きがともなう袖には、まとわりつかない程度まで大きく「ゆとり」を入れます。
特に、背広に代表されるような、表地が毛織物の場合、その特性である伸縮性を考慮した裏地の縫製が必要となります。着る人の体型に併せて経験とカンとセンスで、縫いながら「ゆとり」を加減して入れるという高度なテクニックが、動いたときにも表地が引き吊ることなく表地(外観)が“スッキリ”見える、美しいシルエットを創ります。
たかが「裏地」。されど「裏地」。製造コストをできるだけ抑えることに傾倒し、裏地が付かない衣服が増えてきましたが、着る喜びや満足を与えてくれる衣服という視点で、お洋服選びの際に「裏地」の重要性を見直してみてはいかがでしょうか。
ハッピーのシルエットプレスは、
裏地の細部まで「とことん」こだわります
ハッピーの「ケアメンテ®」は、基本洗浄技術「アクアドライ®」を中心に、「水」を主体とする洗浄をおこなっています。「水洗い」をおこなうためには洗浄技術だけではなく、高度なプレス技術が欠かせません。
衣服を構成する「表地」「裏地」「芯地」は、それぞれに異なる繊維素材が使われるため、水に浸したときの縮み方(収縮率)も繊維素材ごとに違います。これらを繊維素材に応じてアイロン技術で復元するには、通りいっぺんの機械プレスでは不可能で、職人の細やかな手仕上げが必要となります。
ハッピーの「シルエットプレス®」は、独自に開発した人体工学に基づくアイロンプレスツールを使い、熟練のプレス技能者によって、1着ずつ手作業で本来の美しい三次元シルエットを再現します。全体の裏地はもちろん、裏地がかぶさって見えない表地内側の縫い代・アームホールのワタ・ポケットの裏地…見えないところこそ細部まで丁寧に、つまり衣服の“作り手”の心を再現する「とことん」こだわったアイロンプレス技術です。
「シルエットプレス®」詳しく見る