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事例・レビュー

百年昔の「きもの」を洗う

母から娘へ

絹織物の「きもの」は、日本で紡績業が盛んになるまで絹糸が貴重だったため、長く着られるように工夫され大事に扱われていました。お手入れと管理を上手にすれば、母から娘へ、そして、孫へと親子三代(およそ100年)にわたって受け継がれることができます。
しかし、絹は非常にデリケートな繊維のために、家庭の水洗いによる洗濯は難しく、型くずれしないドライクリーニングで丸洗いするか、縫製を解いて洗う「洗い張り」という特殊な洗い方しかありませんでした。
また、絹織物は100年くらいを境に急激に繊維が弱くなってしまうという傾向があり、100年以上も経た古い織物は、「古代裂」と呼ばれて珍重されています。

百年昔の「きもの」

今から百年さかのぼれば、日本で西洋文化が開花した明治時代となり、男性の洋装化は進みましたが、女性の洋装化は極一部の上流階級にのみにとどまりました。
明治時代の「きもの」は、江戸時代後半の質素倹約の流れを汲み、明治初期の頃は、小さな柄が裾に描かれた地味なものでしたが、中期にはモチーフが豪華になり色も艶やかになりました。さらに後期には、洋花をモチーフにした模様や、西洋風の色遣いによる模様などが、「きもの」の柄に用いられるようになりました。

百年昔の「きもの」

写真の「きもの」は、ちょうど約100年昔に仕立てられた、花嫁の「きもの」です。真っ赤な裏地と、牡丹の花がアレンジされた西洋風の柄が特徴的で、当時の時代背景を醸し出しています。
この「きもの」の裏地に使われている、真赤に無地染めされた薄地の平絹のことを「紅絹(もみ)」といい、戦前は女性や子供の着物の胴裏にこの紅絹を使うのが定番でした。ウコンで下染めしたものを紅花で上染めして仕上げられられます。花を揉んで染めることから「もみ」との名がつけられました。

「きもの」が日常着であった当時は、日常着の大半は“織り”の「きもの」で地味なデザインが多く、そんな地味な日常着から、より女らしく色っぽくするために「紅絹」は使われました。また、魔除けの意味も込められていたそうです。
「紅絹(もみ)」から薄い色の表地に色が移る可能性が高いため、現代の「きもの」にはほとんど用いられることがなくなりました。

きものを水で丸洗い

100年以上前に着用された正絹の「きもの」を、ハッピーの『無重力バランス洗浄機』を使って、「水で丸洗い」をしてみました。
ハッピーが最も懸念したのは、縫い糸や生地が弱っていることにより、糸が切れたり破れてしまうことや「紅絹(もみ)」からの移染でした。
結果としては、まったく問題なく洗い上げられました。(MA値5以下の効果です)。

MA値について詳細はこちら

<洗濯条件>
洗浄機: 無重力洗浄機
洗浄時間:15分
洗浄温度:常温
すすぎ時間:4分×2回
添加薬剤:当社の独自開発色止め剤

きものを水で丸洗い

無重力バランス洗浄により、洗い張りのように縫製を解くことなく、100年以上昔の「きもの」を水で丸洗いすることに成功しました。
水洗いにより全体のくすみが取れて、発色が鮮やかに甦りました。部分的な褪色がみられますが、100年昔の汗が原因によるものと考えられます(褪色部分は、ハッピー独自の高度な補色技術で甦らせることができました)。

まとめ

先の検証のところで述べているように、正絹の「着物」を「水で丸洗い」することは、今まで不可能とされていました。
しかし、100年以上「昔のきもの」をハッピーの『無重力バランス洗浄方法』で洗浄した結果、デリケートで捨てられる運命の和服(きもの)も、作られた時代のままに再現・復元できることがわかりました(同時に、MA値5以下の洗浄が有効であることがわかりました)。
『無重力バランス洗浄方法』では、水を使う(友禅流しは水を使用)ため、汚れやシミをキレイに除去して、美しく染められている発色を甦らせ、「絹」が持つ「きもの」本来の味を再現・復元することに成功しました。

きもの・仕立てたままで水洗い
「きもの無重力®」

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